

高校3年で学校を中退した宍倉。そのことで後ろ指をさされたくない、誰よりも早く自立したいと考えていた彼女。一方で、正直どのように行動すれば良いかわからず、ただ闇雲にアルバイトを転々としていた。そんなとき、人生を大きく動かすキーマンと出会う。
昔は「人」があまり好きじゃなかったんです。接客も好きじゃなくて。だから、高校生の頃はアルバイト中にお客さまに外に呼び出されて「態度が悪い」って注意されたこともありました。いまでは考えられないですけど。当時はお金を稼ぎたいからアルバイトをしていただけなんですよね。忍耐力もなかったし。だけど、高校3年になって学校を辞めたときに、当時アルバイトをしていたラーメン店の店長と出会ってから変わりました。店長は私と真剣に向き合ってくれて、困っているときは必ず助けてくれたんです。だから私も店長を信頼できるようになって。人を心から信頼できて好きになれたのは、このときが始めてかも知れないんです。それから、お客さまへの声のかけ方や仕事に対する姿勢を一から教えてもらって、私は変わりました。
自分と真剣に向き合ってくれる人物と出会ったことで変わり始める宍倉。しかし、信頼する店長は別の仕事を始めるために店を去ってしまう。後を追うように彼女も辞めることに。そして、自分に合った職が見つからず悩んでいたときだった。
ラーメン店を辞めてからは、どこに行ってもなかなか人間関係が上手くいかなくて、アルバイト先を転々としていました。それで、友達といまいるこの庄やで食事をしながら「次のアルバイトどうしよう」って話していたんです。そうしたら、頼んでもいないデザートを持った調理長がやってきて「うちでアルバイトしてみない?」って。突然だったので正直、怪しいなぁと思いましたね。でも何だか気になったから、2週間後にそのときにもらった名刺を見て電話しました。それで庄やでアルバイトを始めることになったんですよ。
調理長からの突然のスカウトで始まった大庄でのアルバイト。調理長だけでなく、周りの仲間にも恵まれ、辛いことがあっても支え合いながら仕事を続けることができた。そんな彼女に転機が訪れたのは、働き始めてからちょうど4年が経った頃だった。
毎日が経験で、100%よくできた日はいまのところありません。心からお客さまやスタッフを想って行動ができることと、母親に家をプレゼントできたら100%です。

信頼できる仲間と、たくさんのお客さまに囲まれて働く、愛され店長。

- 24歳

- B型

- 毎月自分へのご褒美に買っているクマのキャラクター「COBE COBE」を集めること。クマちゃんに囲まれていたら幸せです。

- 庄や蘇我東口店
ちょうど私が22歳になった頃、いままで一緒にアルバイトをしていた人たちが、みんな就職活動をし始めて、全然シフトに入らなくなったんです。なんだか私だけ置いていかれるような気がして、どうしたらイイんだろうって、ずっと考えました。そしたら私はすごく負けず嫌いだから、みんなより先に社員になって、先に出世すればイイじゃんって思うようになったんです。いま考えると、これが私にとって始めての目標。結果、周りの友達より早く社員になることができて、一足早く社会人として動き出すことができました。
周囲の大学生が就職活動を始めたことをきっかけに、自分のこれからを改めて見つめなおす宍倉。彼女が導き出した答えは、より責任の重い「社員」になることだった。そして、誰よりも早く出世してさらに大きな責任のもと活躍したいとも考えた。厳しい就職戦線でなかなか思ったように進まない周囲をよそに、持ち前の負けん気で彼女だけは着々と歩み続けた。
店長になると決めてからは本当に大変でした。必ず合格しなければならない研修はとにかく厳しかったんです。仕事と研修の往復だったにも関わらず、研修で不合格をもらったときは心が折れました…。 だけど、調理長が自分のことのように寝ないでレポートに付き合ってくれて。それも朝までですよ。また精神的にも支えとなってくれていました。ついに店長研修にまで合格できたときは本当に嬉しかったです。母親には店長を目指していることを秘密にしていたので、店長辞令をもらったら真っ先に見せました。そしたら「言葉が出ない…」って。突然の驚きとうれしさで言葉につまってしまったんですよ。その姿を見て、私も頑張って良かったなって思いました。
人に支えられることで成長を続けた宍倉。世間知らずでお金だけのために働いていたあの頃の面影は微塵もない。人に支えられることによって、彼女も「人」の大切さをしっかり感じていた。新たなスタートを踏み出すにあたり、まだまだたくさんの困難が待ちかまえていたが、それでも彼女は進んでいく。
最初は147センチの身長と23歳という年齢から、特にお客さまからは、店長に見られることはなかったですね。店長って書かれた名札がとにかくプレッシャーでした。「店長って呼ばないで…」って思うこともあって。それでも慕ってくれるスタッフや助けてくれる人がたくさんいたから私はどんどん強くなれた。みんなのためにもしっかりお店を守らなきゃってね。店長になってからは、自分も人を支えなければって強く思うようになりました。
彼女の周りには、自ずとたくさんの人が集まってくる。それはどんな困難やコンプレックスにも負けずに立ち向かう一所懸命さが伝わっているからだ。その一方でとても若々しく、愛らしい笑顔を見せる宍倉にお客さまとスタッフに対する想いを聞いた。
いまお店で一緒に働いている仲間は、家族同然だと思っています。アルバイトの学生さんたちには社会に出たときに恥ずかしい思いはさせたくないから、一所懸命やってもらうし、良くないことをしたら心から怒る。お金を稼ぐためだけのアルバイトはやらないでって伝えています。昔の私自身に言っているような感じですけどね(笑) 最近は「僕達がいるんで店長少し休んでください」なんて言ってもらえるようになったんですよ! それから、お客さまにとってもお店が家のように感じられるように、宴会のあとには写真を撮ってお店の入り口に飾るようにしています。最近は、「娘が結婚したから結婚式の写真を飾って欲しい」とか、「ペットの写真も飾って」って、写真を持って来てくれるお客さまも増えてきました。自分の家のように思ってくれていたら嬉しいなぁ。
いつしか、人が大好きになっていた宍倉。いまの調理長と組めていること、彼女を支える多くのスタッフに巡り会えたことを大切に思い、真剣に向き合う日々を「最高に幸せだ」と笑顔で語る。その想いは確実に周りに伝わり、さらに多くの人の心を動かす。そんな彼女が大切にするお店の入り口には、コルクボードいっぱいにお客さまの笑顔の写真が飾られ、お店と宍倉が愛されていることを証明していた。最後に、高校時代からは想像できないような成長を遂げた彼女に、今後の目標を聞いた。
目標は、いつでも帰ってきたくなるような、温かい家のようなお店にすることです。女性がひとりでもフラっと入れるようになったら最高ですね。それから、女手一つで私を育ててくれた母親に、会社の制度を使って家をプレゼントすることも目標です。高校を中退したときに泣かせてしまった母親のことは、これからたくさん喜ばせたいと思っています。


















