

研修講師となってから30年の経験を持つ平。途中10年間ほど大庄を退社し、外部講師として教育を手掛けていた彼が、あるきっかけで大庄に戻ることになる。
いまから数年前、大庄が株式上場する前後の活気と勢いで成長を続けた、いわゆる「いけいけどんどん」時代からしばらく経って、いろいろな部分にひずみが生じてきました。それで戻ってこないかと相談を受けたんです。要因はいろいろありますが、ひとつだけ間違いなく言えるのは、急激な拡張によっていままで大切にしてきた「大庄のDNA」が薄くなってしまったこと。これは本腰を入れなければならないなと。それで大庄に戻ってきました。会社も自分も再チャレンジしなきゃという思いもあります。人間は一生学ぶ心を持つことが大切だということは研修でも良く言っていることです。
大庄は創業当初より身近なつながりを大切にしてきた。たとえば店舗周辺のお客さまなど。それがここで言うところの「大庄のDNA」だ。しかし、この「顧客ありき」の考え方から、時代の流れにより、いっときビジネス色を強くしたことで状況は一変する。
当時は店を増やすためにとりあえず多くの人を採用しました。新卒や中途はもちろん、職人気質の人などいろんなタイプの人が加わるようになって。それに、時代が変われば人の気質も変わる。そういうところにも着目してオペレーションしていかなければならないということに、いろんな研修マニュアルを調べていくうちに気づいたんです。確かに昔の研修は、それはそれは厳しかったしカリキュラムも多かった。スパルタでも「なにくそ!」って応えてくれる人がたくさんいて、そういう気質の人が多かった時代。だから厳しい愛情を注ぎました。でも最近はそんな研修ではダメですね。昔の研修テーマは「教えて気づかせる」でしたが、いまは「自ら気づく」素養を育てること。つまり「すべきことをいちいち教わるのではなく、何をすべきか自分で気づく」そういう人材を育てる研修に変えました。
「自ら気づく素質を持つ人材」とは、状況の変化に柔軟に対応できる人材であり、それが多様性を生み、強い大庄へとつながると考える平。生物が多様性を持つように、時代や環境の変化に柔軟に対応できるような人材を数多く育成するためにも、チャレンジ精神と目標意識を気づかせることの重要性を常に伝えている。
幸せ=感謝できること、目標を持てること。それが現在進行形のうちはずっと100%。生まれてきたことに感謝して、働けることに感謝できることが幸せ。なぜなら、それは必要とされている証拠だから。

誰よりも人を愛し、大切にする教育者。アツい想いを教壇で伝えています。

- 62歳

- B型

- 掃除と洗濯とスーパーで買い物をすること。妻にスーパーで買い物をするのが上手いからスーパーマンだと名づけられました。
研修では話しを聞く時に「あいうえお」の母音いずれかを口に出しながら聞くようにと、指導しています。なぜなら、「あ、あ~!」「うゎ~、すごい!」「お~、そうか!」って言いながらメモを取ると、自然と言われたことが記憶に残るんです。研修に参加しているという意識も生まれます。すると講師の話を右から左に聞き流すことがなくなり、そういった相乗効果で4割ぐらい記憶に残る。効果は生徒にだけではなく、講師もだんだん乗せられてきて、いままで以上に研修生たちと向きあうようになります。そういう意味ですごく意識が変わる研修ですね。限られた時間で行われる研修だから意識改革は大切です。まずは、「あいうえお」で聞く習慣を身につけさせ、そして記憶させる。研修後もいろいろな人と接して、それぞれの機会で少しでも多く記憶されれば、何かあった時に自然と答えを出せるようになるんです。それが最終的に目指している「気づく人材」というわけです。この研修スタイルにしてからは、教室の雰囲気が変わりました。いまではワイワイうるさいくらい(笑) 合格率もずいぶん上がりましたね。
「すべては人の心から始まるということ」。そのコミュニケーションの根幹部分を身を乗り出してアツく語る平。さらに、聞くことの重要性とコミュニケーションの課題について伺った。
「医者になれ」「哲学者になれ」「心理学者になれ」「演出家になれ」って伝えています。「医者」とは聞き上手であれということ。意見を押しつけていたら、お客さまはもちろん、スタッフも嫌がる。だからまずは聞いて話を引き出すことが大切です。「哲学者」とは、あなた自身の意思で選んだこの仕事の真の意義を理解し、その上で将来の目標・夢を哲学者のように探求し続けなさいということ。ただ働くのではダメ。そこにあなたなりのこだわりがないと。そして「心理学者」とは、話したいと思っている人に話しかけること。ひとりでゆっくりお酒を飲みたくてお店に来たのに、やたらと話しかけられると不快に感じてしまいます。そういうのを見極めてコミュニケーションを取ることが大切なんです。最後に「演出家」。これはパフォーマーでありなさいということ。人の心を明るくするためにどうしたら盛り上がるかを考えることです。たとえば、お客さまにビールを持って行った時に「外は32℃、店の中は24℃、生ビールは4℃!さぁ、乾杯!」って言ってみたり。ちょっとしたトピックもうまく使えばお客さまの気持ちを盛り上げられます。そうしたことが気持ちを掴むことにつながるし、いつしかお店のファンになってくれたりもするんです。この四つの要素を磨くことで「人間力」が高まっていきます。成功するためには常に磨いていかなければならない部分ですね。
「人間力が高い」人は、言い換えれば「高い魅力を持つ人」となる。人のそのような成長は決してマニュアル・オペレーションだけでは実現できないことだ。大庄の「人材を人財」に変えるこうした研修で得られたことは、個人の成長だけでなくスタッフ全員の育成にも大いに役立つ。
研修で得たことは継続して実践しないと忘れてしまいます。そして、実践できていないからスタッフが育たないというケースが実際にあります。たとえば、人格者になって「あいうえお」を職場でもちゃんと使っているのか改めてチェックしてほしい。自分では褒めているつもりでも最後に余計なひと言をつけて台無しにする職人さんが多い。だから、褒めるときは「い」と「え」の母音を使うこと。「いーねー!」もしくは「え? びっくりだなぁー!」という具合に。それでもなかなか仕事がうまくいかないようだったら、叱るのではなくて、ふたりだけのときに「手伝わせてくれ」って小声で短く言ってからやり方を見せる。そうすればスタッフも上司を自然と受け入れる。だから育つんです。それから何か失敗をしたとしても「自分の教え方が悪かった、すまん」って言えばスタッフはいてもたってもいられなくなり、努力し始めます。「上司の成果は部下のもの。部下の失敗は上司の責任」それがカッコイイ。みんなが、そんなカッコイイ上司になってくれたら嬉しいですね。
スタッフの育成も「人間力」が大きなカギを握ると話す平。「あいうえお」を使うことで、日頃から接するスタッフが講師以上にのってくるは自明の理と言えるだろう。最後に、大庄に関わる人、これから関わっていこうとする人たちに向けてのメッセージを伺った。
「気づく」っていうのは知らないことを知るだけじゃなくて、「自分が反省」すべき点に「気づき」、改善していくことができるようになるということ。「自分の過去」と「他人」を変えることはできませんが、「自分の心の中」と「自分の将来」はいくらでも変えることができます。これは育成にも通じていること。うまくいってないからといって、周りを変えようとするのではダメです。まずは「自分が変わる」こと。そうすればおのずと周りも変わり始めます。人間誰でも幸せになりたいし、目標を持ちたいと思っているはず。そのためにはまず「あなた」から変わっていくこと。それが「人のため」ということです。最後に、一人ひとりがいま正に変わり始めているこの会社は、これからさらに強くなります。活気と勢いは以前にも増して大きくなるでしょう。大庄は人間産業。簡単に言えば「人間産業は人が中心」ということ。強い人間力を持つ人々が集えば大庄は当然成長していきます。そのつもりで日々「人のため」に努めてほしいですね。


















